スルメ色の10本のツメ

紙にはこんなことが書かれていた。


「Wenn mir die Ende klarkommt, läuft weiter neu an.」
「もし私に明確な終わりが来たならば、再び新しいものが始まる」

(達筆過ぎてちゃんと読めへんし文法もなんかおかしいけど、大体こんなん)


大人と入ったカフェにいた変なおじさんが勧めてきたおみくじ(みたいなもの)だった。
古びたアルミの空き箱にくるくる巻かれた紙がたくさん入ってた。
ビジネスアイデアなんだ、と言っていたそうだ。どっかの誰かの名言らしい。


普通だったらきっと無視してただろうなと思う。
大人が引いてたから、引いたほうがいいかなと思ってそうした。
そしたら、なんともタイムリーで口の中が苦くなるようなことが書かれていた。
(勝手にそう思っただけ。人間の解釈と想像力は無限大や。)


というか、ただのセオリーやんけ、とツッコみたくなる一文でもある。


思いがけないことがあった二日後だった。
そして今これを書いている十二日前のことだった。



その後あったことは、これからいろんな人に驚かれ非難されるようなものかもしれない。
でも今、「人間失格」を読んでいるので存外落ち着いた気持ちでいる。
全員に細かく説明するつもりはないし、出来ないし、そんな野暮なことを聞いてくるような人はいないと思う。


そして、今日なんとなく「着地」出来たような気がしている。
グラデーションのような別れを、夕焼けみたいな段階の踏み方を。



「みんなをあいしている」
(弟はこれを "恋愛体質" と呼んで非難する。)






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