別居


「さようならば、」

仕方あるまい。別れましょう、さようなら。
離れて暮らすことを良しとする人だっているし、もういろいろ忘れ始めている。
それが、なにひとつ良い結果をもたらさない選択だと分かっていたとしても。

手にとった小説の中で、「わたしは彼と一緒にいるときより、彼と離れている時のほうが彼のことを好きなのだ」という主人公の気づきにハッとした。なるほど、そうだったのか。

一日一日をしっかり暮らすことをいつから放棄しだしたのだろう。
自分は、自己啓発セミナーや宗教にはまりやすい人間だと思うから、催眠術をかけてほしい。
外はまだ暑い。でも、匂いは秋。


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